サウナ愛好家にとって、一年に一度の大きな楽しみといえば「サウナシュラン」の発表です。毎年11月11日の「ととのえの日」に公開されるこのランキングは、全国に1万以上あるといわれる施設の中から、プロサウナーたちの厳しい目によって選ばれた「今行くべきサウナ」の結晶です。
この記事では、サウナシュランの歴代受賞施設を振り返りながら、なぜそれらの場所が選ばれ続けているのか、その魅力と背景を分かりやすく丁寧に紐解いていきます。初心者の方からベテランのサウナーまで、次のサウナ旅の目的地選びにぜひ役立ててください。歴史を知ることで、いつものサウナ体験がより深いものへと変わるはずです。
サウナシュランの歴代ランキングの仕組みと審査基準

サウナシュランは単なる人気投票ではありません。サウナ文化を革新し、新しい価値を創り出している施設が正当に評価されるよう、独自の仕組みと基準が設けられています。まずは、この賞がどのような意図で運営されているのか、その基礎知識からお伝えしましょう。
そもそもサウナシュランとは何か
サウナシュラン(SAUNACHELIN)は、サウナクリエイティブ集団「TTNE」が中心となって2018年に立ち上げたサウナの格付けプロジェクトです。世界的に有名なグルメガイド「ミシュランガイド」のサウナ版を目指して命名されました。既存の温浴施設の枠組みにとらわれず、新しい試みや革新的な体験を提供している施設に光を当てることを目的としています。
選考を行うのは、日本各地のサウナを巡り尽くしている「プロサウナー」たちです。彼らが実際に足を運び、その年のトレンドや業界への影響力を考慮した上で、上位11施設をノミネート・表彰します。なぜ11施設なのかというと、11月11日の「ととのえの日」にちなんでいるからという、サウナ愛を感じる遊び心も含まれています。
このランキングが発表されるようになってから、日本のサウナシーンは劇的に変化しました。以前のような「おじさんの社交場」というイメージから、若者や女性も楽しめる「洗練されたウェルネス空間」へと進化する大きなきっかけとなったのです。歴代の受賞施設を辿ることは、日本のサウナ文化がどのように成熟してきたかを知る物語でもあります。
プロサウナーが重視する評価のポイント
サウナシュランの審査基準は、単に「サウナ室が熱い」とか「水風呂が冷たい」といったスペックだけではありません。公式に発表されている評価項目には、水風呂、外気浴スペース、ホスピタリティ、男女の有無(女性側もしっかり充実しているか)、料金設定、清潔性、エンタテインメント性、そして何より「革新性」が含まれています。
例えば、水風呂一つをとっても、ただ冷たいだけでなく、その水質や深さ、流れる水の音、そして周囲の環境との調和が見られます。外気浴であれば、風の通り方や椅子の配置、視界に入る景色の美しさなどが細かくチェックされます。また、施設全体がどのようなコンセプトで設計され、ゲストにどのような物語を提供しているかというストーリー性も重要な要素です。
特に近年重視されているのは、その施設が「そこでしかできない体験」を提供できているかどうかです。都会のど真ん中で大自然を感じさせる演出をしたり、逆に山奥で最先端のテクノロジーを導入したりといった、意外性とこだわりが評価を左右します。審査員たちは、サウナを通じてどれだけ感動を与えられるかという「心の満足度」を追求しているのです。
3度受賞で達成される「殿堂入り」の栄誉
サウナシュランには、特定の施設がランキングを独占し続けるのを防ぎ、常に新しい施設にスポットライトが当たるようにするための特別なルールがあります。それが「殿堂入り(HALL OF FAME)」制度です。過去に通算で3回受賞した施設は、殿堂入りとして以降のランキング選考対象から外れることになります。
この制度があるおかげで、サウナシュランは毎年新鮮な顔ぶれが並ぶようになっています。しかし、殿堂入りを果たすということは、長年にわたって最高品質のサービスを維持し、さらに進化し続けてきたという「本物の名店」である証でもあります。現在、殿堂入りしている施設は、サウナファンにとっての「聖地」として君臨しています。
殿堂入り施設には、佐賀の「らかんの湯」や熊本の「湯らっくす」など、日本を代表するサウナが名を連ねています。初めて本格的なサウナ巡りをするなら、まずはこの殿堂入り施設から制覇していくのが間違いないと言えるでしょう。各施設がどのような進化を遂げてその地位を築いたのか、その歩みを理解することで、より深いととのいを得られるはずです。
初期から中期(2018年〜2020年)を彩った伝説の施設

サウナシュランが始まった当初の数年間は、まさに日本のサウナブームが爆発的に広がり始めた時期でした。この時期にランクインした施設は、現代のサウナスタイルのスタンダードを作ったパイオニアたちが揃っています。当時の勢いを振り返りながら、受賞施設の魅力を見ていきましょう。
2018年:サウナ界の王者が集結した記念すべき初開催
記念すべき第1回目となった2018年は、古くからの名店と新しい感性が融合した年でした。第1位に輝いたのは、愛知県名古屋市の「ウェルビー栄」です。フィンランドのサウナ文化をいち早く取り入れ、氷点下のクールダウン室「ラップランド」を備えるなど、その圧倒的なこだわりは当時のサウナーたちに衝撃を与えました。
この年は他にも、横浜の「スカイスパ Yokohama」や札幌の「ニコーリフレ」といった、今なお愛され続ける都市型の本格サウナが上位に食い込みました。当時はまだサウナといえば「男性専用」というイメージが強かったのですが、そんな中でもクオリティの高さで勝負し、全国のサウナーたちが遠征してでも行きたいと思わせる施設が選ばれたのです。
2018年のランキングを振り返ると、日本のサウナ文化がいかに地方都市の熱い情熱によって支えられてきたかが分かります。各施設が競うようにしてロウリュのサービスを充実させたり、フィンランドからサウナストーンを取り寄せたりといった、現場の試行錯誤が実を結び始めた瞬間でもありました。この11施設が、その後のブームの強固な土台となったのは間違いありません。
2019年:佐賀「らかんの湯」の衝撃的な登場と躍進
2019年のサウナシュランを語る上で欠かせないのが、佐賀県武雄市にある「御船山楽園ホテル らかんの湯」の第1位獲得です。この施設の登場は、サウナ界の歴史を塗り替えるほどのインパクトがありました。歴史ある庭園の中に作られた真っ白なサウナ室は、これまでの「暗くて狭い」というサウナの常識を根底から覆したのです。
らかんの湯は、自然の光を取り入れる設計や、自家製のデトックスウォーターが楽しめる休憩スペースなど、五感すべてで癒やされる体験を提供しました。これにより、サウナは単なる汗をかく場所ではなく、「アートや自然と一体になる究極のリラクゼーション」へと昇華されました。この年の受賞をきっかけに、宿泊を伴う「サウナ旅」というスタイルが一般化していきました。
また、2019年は熊本の「湯らっくす」も上位にランクインし、九州のサウナのレベルの高さが全国に知れ渡ることとなりました。強力な水流が天井から降り注ぐ「MADMAXボタン」など、遊び心と本質的な心地よさを両立させた施設が評価されたのです。サウナシュランが、地方のポテンシャルを掘り起こす役割を果たし始めた重要な年と言えるでしょう。
2020年:下町銭湯「黄金湯」などの革新的な施設が注目
2020年は、サウナブームが一般層にまで浸透し、身近な「銭湯サウナ」にまで革新の波が押し寄せた年でした。その象徴となったのが、東京都墨田区の「黄金湯(こがねゆ)」のランクインです。老朽化した銭湯が、クラウドファンディングを活用してモダンにリニューアルされ、若者が行列を作るほどの人気スポットへと変貌を遂げました。
黄金湯の受賞は、「銭湯でもここまでのクオリティのサウナが作れるんだ」という希望を全国の温浴施設に与えました。プロが監修した本格的なサウナ室と、水質の良い水風呂、そしてスタイリッシュな番台。これまでの銭湯のイメージを刷新した功績は極めて大きく、この年以降、各地で銭湯のリノベーションが加速することとなりました。
同時に、この年はアウトドアサウナの先駆けとなった長野の「The Sauna」や、伊豆の歴史ある旅館「おちあいろう」なども選出されました。都会の雑踏から離れ、大自然や伝統建築の中で静かに自分と向き合う。そんな「静寂のサウナ」という価値観が改めて評価された一年であり、サウナの楽しみ方がさらに多角化していった時期でもあります。
近年のトレンドを牽引する受賞サウナ(2021年〜2025年)

2021年から現在にかけてのサウナシュランは、まさに「百花繚乱」の時代です。サウナをテーマにした施設はより専門化し、これまでにないユニークな体験を提供する場所が続々と誕生しています。ここでは、最近の受賞施設から見えるサウナの最新トレンドを探っていきます。
2021年・2022年:アウトドアと個室サウナの多様化
2021年と2022年は、コロナ禍の影響もあり「3密」を避けた楽しみ方が評価されました。特に注目を集めたのが、完全プライベートな空間で自分好みの温度やロウリュを楽しめる「個室サウナ(ソロサウナ)」の台頭です。誰にも邪魔されずに没入できる体験は、現代人のニーズに合致し、多くの施設が受賞を果たしました。
一方、アウトドアサウナの進化も止まりませんでした。2022年に第1位となった静岡県の「Thermal Climb Studio Fuji(サーマルクライムスタジオ富士)」は、富士山の麓で世界中のサウナ体験ができる「サウナの遊園地」のような施設です。ここでは、単に熱いサウナに入るだけでなく、山登りのように段階を経て体を温め、ととのえていくという新しいメソッドが提唱されました。
この時期の受賞施設に共通しているのは、「目的特化型」であることです。ただの大型スパ施設ではなく、「最高の水風呂に入るためだけに行く」「薪サウナの香りに包まれるためだけに行く」といった、特定の体験を極めた施設が支持されました。サウナーたちのこだわりがより細分化され、それに呼応するように個性派施設が次々と産声を上げた時期と言えます。
2023年:都内最大級の「サウナ東京」が示した圧倒的体験
2023年の大きなトピックは、東京都港区赤坂に誕生した「サウナ東京」の快進撃です。都心のど真ん中にありながら、5つの異なるサウナ室と巨大な水風呂、そして圧倒的な数のととのい椅子を備えたこの施設は、サウナーが求めるすべてを詰め込んだ「理想郷」として大きな話題を呼びました。
サウナ東京の凄さは、その物量だけでなく細部へのこだわりにもあります。AIを活用したオートロウリュや、日本古来の蒸し風呂を現代的に解釈したサウナ室など、温故知新の精神が随所に感じられます。オープンから間もなく受賞を果たし、その翌年には史上最速レベルで殿堂入りへと近づくなど、現代のサウナシーンにおける一つの完成形を示しました。
この年は、都市型の大規模施設が復権する一方で、地域の特性を活かした小規模な施設もバランスよく選ばれました。大資本による贅沢な設備と、個人の情熱が詰まった手作りの空間。その両方が「サウナ」という共通言語で評価される面白さが、2023年のサウナシュランには詰まっていました。利便性と専門性の両立が、今後の都市型サウナの鍵になることを予感させました。
2024年・2025年:地域の歴史や自然と共生するサウナ
2024年から2025年にかけては、サウナが地域再生や文化保存の役割を担うケースが目立つようになりました。2025年にグランプリ(第1位)を獲得した北海道中標津町の「湯宿だいいち」は、その代表例です。300年以上の歴史を持つ秘境の温泉宿が、サウナという新しい要素を取り入れることで、全国からゲストを呼ぶ目的地へと進化したのです。
最近の受賞施設では、ただ新しい設備を作るだけでなく、その土地の石をサウナストーンに使ったり、地元の銘水を引き込んだりといった、地域とのつながりが重視されています。また、2024年に第1位となった東京の「TOTOPA」のように、最新のウェルネス理論に基づいた科学的なアプローチでサウナ体験を再構築する動きも活発になっています。
さらに、2025年には史上最速で殿堂入りを果たした「サウナ東京」や、創業150年の歴史を誇る静岡の「おちあいろう」が殿堂入りするなど、サウナ界の歴史が次々と塗り替えられました。最新技術と歴史的価値、この相反する要素が融合した時、これまでにない深い「ととのい」が生まれることを歴代の受賞施設は証明し続けています。
歴代の中でも圧倒的な存在感を放つ「殿堂入り施設」一覧

サウナシュランで3度の受賞を果たし、殿堂入りした施設は、もはや日本の宝と言っても過言ではありません。これらの施設を訪れることは、日本のサウナ文化の神髄に触れる旅でもあります。ここでは、歴代の殿堂入り施設の中から、特に注目すべき場所をご紹介します。
【主な殿堂入りサウナ施設】
・御船山楽園ホテル らかんの湯(佐賀県)
・湯らっくす(熊本県)
・スカイスパ Yokohama(神奈川県)
・The Sauna(長野県)
・ウェルビー栄(愛知県)
・北こぶし知床 ホテル&リゾート(北海道)
・サウナ東京(東京都)※2025年殿堂入り
・おちあいろう(静岡県)※2025年殿堂入り
佐賀:御船山楽園ホテル らかんの湯
日本のサウナを「鑑賞する芸術」に変えた立役者が、この「らかんの湯」です。御船山の雄大な断崖を背景に、四季折々の表情を見せる庭園と調和したサウナ体験は、一度味わうと忘れられません。男湯と女湯でコンセプトが異なり、特に女湯の真っ白なドーム型のサウナ室は、まるで母親の胎内にいるような安心感を与えてくれます。
ここでは、ほうじ茶を使ったロウリュや、温泉水を冷却した滑らかな水風呂など、至る所に細やかな工夫が凝らされています。さらに、サウナ後の休憩スペースでは、囲炉裏で焼いたお餅やプリンが提供されるなど、食の楽しみも充実しています。「宿泊してゆっくりとサウナに向き合う」という贅沢を、これ以上ない形で具現化している至高の施設です。
らかんの湯が殿堂入りした理由は、その圧倒的な美意識にあります。夜にはチームラボによる幻想的なライトアップが行われ、昼夜で全く異なる表情を見せます。サウナを単なる入浴の一環ではなく、人生を豊かにする「体験」として再定義した功績は、今後も色褪せることはありません。佐賀の山奥にありながら、世界中からファンが訪れるのも納得のクオリティです。
熊本:湯らっくす(西の聖地)
サウナーの間で「西の聖地」として絶大な支持を集めているのが、熊本市の「湯らっくす」です。ここの最大の特徴は、阿蘇の伏流水を贅沢に使った水風呂です。深さ170cm(男湯)という圧倒的なスケール感と、天井から降り注ぐ大量の水を全身で浴びられる「MADMAXボタン」は、もはや伝説的なアトラクションとなっています。
しかし、湯らっくすの本当の凄さは、スタッフによるアウフグース(熱波送り)の情熱と技術にあります。プロの熱波師たちが音楽に合わせて舞うように風を送るパフォーマンスは圧巻で、サウナ室が一つの劇場のようになります。それでいて、施設全体にはどこか懐かしい、温かいホスピタリティが流れており、初心者でも安心してととのいの世界へ入っていけます。
24時間営業で宿泊も可能なため、旅の拠点としても非常に優秀です。サウナ飯(サ飯)のクオリティも高く、熊本の食材を活かしたメニューが並びます。エンタテインメント性と、水への真摯なこだわり。その両輪が見事に噛み合っているからこそ、3年連続受賞という快挙を成し遂げ、殿堂入りを果たしたのです。熊本を訪れるなら、絶対に外せない一軒です。
長野:The Sauna(野尻湖の薪サウナ)
「日本にフィンランドを作りたい」というオーナーの熱い思いから生まれたのが、長野県野尻湖畔にある「The Sauna」です。ここでは、現代的な電気ストーブではなく、薪を燃やして温める本格的なフィンランド式サウナが楽しめます。パチパチという薪のはぜる音と、木の香りに包まれる時間は、都会の喧騒を忘れさせてくれる魔法のようなひとときです。
水風呂は、なんと野尻湖そのものや、森から引いた清流を利用しています。冬場には湖面に氷が張ることもありますが、その冷たさを乗り越えた先に待っている外気浴は、まさに宇宙と一体になるような快感をもたらします。四季折々の自然の変化を肌で感じながら入るサウナは、自分自身も自然の一部であることを思い出させてくれます。
ここが殿堂入りしたのは、サウナの「原点」を日本に根付かせたからです。不便な場所にあるからこそ、たどり着いた時の感動はひとしおです。また、サウナ後の食事として提供されるラム肉の「ラムマーボー」も、サウナーの間では絶品と評判です。自然、薪の火、そして温かいコミュニティ。それらが調和した、日本最高峰のアウトドアサウナと言えるでしょう。
愛知:ウェルビー栄(日本屈指の本格サウナ)
日本のサウナ文化を長年牽引してきた「ウェルビー」グループ。その総本山とも言えるのが、名古屋市の「ウェルビー栄」です。2023年にリニューアルされ、再びサウナシュランに返り咲いた後に殿堂入りを果たしました。ここは、フィンランドの森をそのまま再現したかのような「サウナシアター」や、マイナス25度の極寒世界でクールダウンできる部屋など、規格外の設備が揃っています。
特にユニークなのが、水風呂の中にリクライニングチェアが設置された「水の中の休憩スペース」です。これまでにないととのい方を常に提案し続ける姿勢は、まさに革新性の塊です。また、館内ではガウンを着てリラックスでき、フィンランドの文化や哲学を学べるライブラリーも併設されています。サウナを通じて、ライフスタイルそのものを提案している施設です。
ウェルビー栄が評価される理由は、単なる設備の豪華さだけではなく、そこにある「静寂」の守られ方にあります。都心の繁華街にありながら、一歩中に入ればそこは静かな森の中。スタッフのきめ細やかな気配りと、計算し尽くされた導線。すべてがハイレベルで融合しているからこそ、サウナシュラン創設時からずっとトップランナーとして走り続けてこられたのです。
サウナシュランの歴代情報を活用した賢いサ旅の計画術

サウナシュランの歴代施設はどこも魅力的ですが、その人気ゆえに予約が取りづらかったり、混雑していたりすることも少なくありません。せっかくのサウナ旅を最高の思い出にするために、歴代情報を活用した賢い計画の立て方をお伝えします。
受賞直後は混雑必至!時期をずらして訪問するコツ
毎年11月11日にサウナシュランが発表されると、受賞したばかりの施設には全国から予約が殺到します。特に第1位から第3位までの施設は、しばらくの間、週末の予約が取れないことも珍しくありません。もし、ゆったりと自分のペースで楽しみたいのであれば、発表から半年以上ずらした時期や、平日の昼間を狙うのが鉄則です。
また、歴代の受賞施設、特に殿堂入りした施設は、一時的なブームが去った後も高いクオリティを維持しています。新しいランキングに目が行きがちですが、あえて「数年前の受賞施設」を再訪してみると、オペレーションが安定しており、混雑も適度で、より深い満足感を得られることが多いのです。新しい順ではなく、自分の好みのスタイル(自然派、都市型など)で歴代リストから選んでみてください。
もう一つのテクニックは、悪天候の日を狙うことです。屋外サウナや外気浴がメインの施設は、雨や雪の日にキャンセルが出やすくなります。しかし、実は雨の日の外気浴は、雨粒の当たる感触が心地よく、不思議なととのいをもたらしてくれることがあります。あえて「条件が悪い日」に訪れることで、独り占めできる贅沢を味わえるかもしれません。
宿泊施設一体型のサウナを狙うメリット
サウナシュランの歴代リストを見ると、近年はホテルや旅館に併設された施設が非常に増えています。日帰り利用も可能ですが、できれば「宿泊してサウナを楽しむ」ことを強くおすすめします。宿泊者専用の時間帯があれば、日帰り客がいない静かな環境でサウナに没入できるからです。
宿泊する最大のメリットは、サウナ後の「動線の短さ」です。最高にととのった後、そのまま自分の部屋のベッドに飛び込める幸福感は、日帰りでは決して味わえません。また、朝起きてすぐに入る「朝ウナ」も宿泊者の特権です。キリッとした空気の中で体を温め、一日をスタートさせる体験は、心身のリセットに最適です。
さらに、多くの受賞ホテルでは、サウナだけでなく食事や寝具にもこだわっています。サウナで感覚が研ぎ澄まされた後に食べる豪華な夕食や、深い眠りを誘うマットレスなどは、サウナ体験をさらに一段高いものへ引き上げてくれます。一泊二日の「サウナ合宿」として計画を立てることで、日頃のストレスを完全に解消できるはずです。
地元のプロサウナー推奨施設との組み合わせ
サウナシュランの受賞施設を目的地にする場合、その施設だけで満足するのは少しもったいないかもしれません。実は、受賞施設の周辺には、ランキングには入っていなくても、地元のサウナーたちが日常的に通う「隠れた名店」が点在していることが多いのです。受賞施設を「メインディッシュ」とするなら、それらの銭湯や施設は「名脇役」となります。
例えば、佐賀の「らかんの湯」に行くなら、近くにある歴史ある温泉銭湯をハシゴしてみる。あるいは、東京の「サウナ東京」に行くなら、その足で昔ながらの下町銭湯のサウナを体験してみる。そうすることで、その土地の水の性質の違いや、サウナ文化の幅広さをより深く理解できるようになります。一つの旅で異なる2〜3の施設を巡る「サウナホッピング」は、満足度を倍増させてくれます。
地元の名店を探す際は、サウナ専用の口コミサイトやSNSを活用しましょう。「サウナシュラン受賞施設の近く」で検索すると、熱心なサウナーたちが書いた詳細なレビューが見つかります。地元の人に愛されている施設には、受賞施設とはまた違った温かみや、独自のローカルルールがあり、それ自体が旅の醍醐味になります。ランキングを入り口にしつつ、自分だけの「裏サウナシュラン」を見つけてみてください。
サウナシュラン歴代受賞施設を巡って究極のととのい体験を
サウナシュランの歴代受賞施設は、単なるランキングの順位を超えて、日本のサウナ文化が歩んできた進化の足跡そのものです。2018年の開始以来、多くの施設が切磋琢磨し、水風呂の温度一つ、外気浴の椅子一脚に至るまで、ゲストの感動を追求し続けてきました。
歴代の受賞施設を巡ることは、単なる趣味の域を超え、自分自身の心身を整え、新しい感性に触れる豊かな時間を提供してくれます。都会の喧騒の中にある洗練された施設も、大自然の静寂に抱かれた施設も、そこには必ず「ゲストに最高のととのいを提供したい」という作り手の情熱が息づいています。
この記事でご紹介した歴史や背景を参考に、ぜひあなたにとっての「生涯ナンバーワン・サウナ」を見つける旅に出かけてみてください。サウナシュランの歴代リストは、あなたの人生をより健康で、より刺激的に彩ってくれるガイドマップになるはずです。次の「ととのえの日」にどの施設が選ばれるのか、それまでの間、名店たちの魅力を存分に堪能しましょう。



